低温高湿による和牛の長期熟成・統合検証技術レポート

今回の検証に採用した梶屋牛は、鹿児島県種子島の豊かな自然が育んだ、今最も注目されるブランド和牛の一つです。

1/20/2026

今回の検証に採用した梶屋牛は、鹿児島県種子島の豊かな自然が育んだ、今最も注目されるブランド和牛の一つです。

  • サステナブルな生産体制: 島の特産品であるサトウキビの搾りかす(バガス)を牛舎の敷材や飼料に活用する「循環型畜産」を実践しています。

  • 「世界の尾崎牛」の系譜: 尾崎宗春氏の指導を仰ぎ、赤身の濃厚な旨味と、さらっと溶ける低融点の脂の絶妙なバランスを実現しています。

  • 評価: プロの料理人からは、熟成によってそのポテンシャルが最大限に引き出される、力強い肉質と評価されています。

  • 熟成適性: 今回の検証では、特に肉質の変化が顕著に現れる「サーロイン」部位を使用しました 。

この度は低温高湿度、ノンフロストかつ温度ブレがほとんどない環境における長期貯蔵の牛肉変化を観測し、日本の「食」に関する新たな発見を目標に、実証実験を2025年10月に開始致しました。

分析条件
  • 保管条件: 以下の6パターンで比較を行いました。

    1. 未処理

    2. クールイノベーション(CI)冷蔵庫:ドライ(乾燥熟成)

    3. クールイノベーション(CI)冷蔵庫:ウェット(高湿度保持)

    4. クールイノベーション(CI)冷蔵庫:ウォーター(水冷保持)

    5. 業務用冷蔵庫:ウェット

    6. 業務用冷蔵庫:ウォーター

  • 分析期間: 開始日(D+0)から最長104日目(D+104)までを測定対象としました。

  • 主要分析項目: 重量の変化(ドリップ率)、黒ずみの範囲、細菌検査(一般生菌、大腸菌群等)、味覚センサーによる味分析です。

  • 視覚的分析: 肉を外側から「黒色・乾燥表面」「黒色・中間層」「中心部(赤身)」の3層に分類しています。乾燥表面は硬く濃い色に変化し、内側に向かって熟成が進んでいる様子が写真で確認できます。

  • 重量構成: 全量615グラムのうち、各部位の割合は以下の通りです。

    • 乾燥表面: 155グラム(25.2パーセント)

    • 中間層: 293グラム(47.6パーセント)

    • 中心部: 167グラム(27.2パーセント)

  • 解説: 通常のドライエイジングでは、表面の約4分の1をトリミング(除去)する必要がありますが、クールイノベーション(CI)技術ではこの「除去部分」の衛生状態もコントロールされている点が大きな特徴です。

衛生管理分析:CI技術による圧倒的な菌抑制効果

熟成における最大の課題は、腐敗のリスク(菌の増殖)です。CI冷蔵庫は、高湿度を維持しながら菌の活動を抑え込むことに成功しました。

ウェット条件での比較: ◦ 通常の業務用冷蔵庫では保管35日目(D+35)で菌数が 7.0 x 10^7 cfu/g に達し、品質が限界を迎えます 。 ◦ 一方、CI冷蔵庫(高湿度ウェット)では、104日経過後(D+104)でも 4.6 x 10^5 cfu/g に抑えられており、通常の冷蔵庫の約1/100以下の菌数で推移しています。

ドライ条件での比較: ◦ 56日間のドライ熟成において、肉の中心部の一般生菌数は 3.5 x 10^4 cfu/g と、極めて清潔な状態を維持しています 。

※業務用冷蔵庫(緑線)が急上昇して脱落し、CI技術(黄線)が104日まで緩やかに推移。

2.2 加熱調理後の安全性 • 熟成期間を問わず、CIの検体において加熱後の大腸菌群は「陰性」となりました 。これにより、100日を超える長期熟成肉であっても、適切な加熱調理を行えば安全性が担保されることが証明されました。

検証結果に見るドリップの抑制
  • 保管104日目(D+104)の測定において、肉の総重量257.5グラムに対し、流出したドリップはわずか 3.3グラム でした。

  • ノンフロスト技術により、霜が形成せず、霜取りのの必要がない。デフロスト時の温度差による結露もないため、より良い安定した貯蔵環境によるものかと考えられます。

  • 開け閉めによる温湿度の変化はあるものの、基本0.3度という設定から± 0.2度での安定性、及び高湿度の維持が見られます(90日間のデータ)。

味覚分析:熟成が生み出す旨味の劇的進化

味認識装置による分析では、熟成期間に応じて「旨味」と「コク」が劇的に向上しています。

先味:口に入ったときに感じる味わい

後味:飲み込んだ後にも続く味わい

  • 旨味コク(後味): 未処理に比べ「1.06」上昇しました。

  • 特徴: 雑味が減少し、口の中に長く残る深い美味しさが形成されています。

※味覚センサーの数値は、「1」違えば誰でも各味成分の違いを認識できるとされています。

  • 味の強さの変化: 未処理(D+0)と比較して、すべての層で「旨味」と「塩味」が大幅に向上しています。

  • 中心部の特徴: 苦味雑味が減少し、旨味と塩味のバランスが最も良く、クリアな味わいになっています。

  • 表面・中間層の特徴: 外側にいくほど味が濃縮され、特に乾燥表面では塩味の数値が「3.48」まで上昇しています。これは水分が抜けることで味が凝縮されるドライエイジングの効果が顕著に現れている証拠です。

※酸味(先味)、渋味刺激(先味)、渋味(後味)については、味がないとの判定であったため評価対象外としました。

  • 考察:タンパク質が酵素によって分解され、ペプチド(コクの成分)を経てアミノ酸(旨味の成分)へと変化するプロセスが見受けられました。

ドライ(赤身・中心部)の経時変化
サンプル処理・味成分抽出方法

科学的な味分析(味覚センサー測定)を行うため、以下の11手順で厳格に成分抽出を行いました。

  1. 生肉の重量を測定し、細菌検査用の検体を確保します。

  2. 脂身を丁寧に取り除き、赤身部分のみを1センチ角にカットします。

  3. カットした肉を100グラム正確に量り取ります。

  4. 純水150グラムを加え、重量で2.5倍に希釈します。

  5. ビーカーにラップをします

  6. 純水を入れた大きめの鍋に、上記4のビーカーを並べます

  7. 鍋の純水が沸騰するまで強火で加熱し、沸騰後は火を弱めて1時間湯煎します

  8. 火を止めて湯煎した肉の入ったビーカーを水冷し、室温に戻します

  9. 金ざるなどで固形物をろ過します

  10. 遠心分離(3000rpm、10分間)を行います

  11. 固形物や油脂を除去した水層部を測定用サンプルとします

ドライ熟成肉の外観と重量構成の分析
化学的指標(食塩分、Brix、pH)
  • ウェットエイジング(D+77のデータ)

  • Brix(糖度・濃度):開始時(D+0)の5.0パーセントから、77日目(D+77)には6.5パーセントまで上昇しました 。Brix値の上昇は、肉の中の可溶性成分(糖やアミノ酸など)が濃縮されていることを示します。77日間で約30パーセント濃度が高まっており、これが「旨味」や「甘み」の向上に直結しています 。

  • pH値:5.87から5.72へと、微減しながら安定しています 。腐敗が進むとpHは急激にアルカリ側に傾きますが、このデータでは微酸性側に安定して推移しています。これは異常な腐敗が起きておらず、肉の酵素による熟成が進んでいる証拠です 。

  • 食塩分:0.65パーセントから0.73パーセントへと緩やかに上昇しています 。味付けをしたわけではなく、熟成中に水分が微量にコントロールされることで、肉本来が持つミネラル分が凝縮され、味がはっきりとしてくる傾向を示しています 。

    ドライエイジング
  • Brix(糖度・濃度): 未処理の5.0パーセントから、熟成56日目には7.5パーセント(中心部)から7.8パーセント(中間層)へと上昇しています。これは肉の成分が凝縮され、濃厚になっていることを物理的に裏付けています。

  • pH値: 5.86から6.13の範囲で安定しています。腐敗が進むとpHは急激にアルカリ性へと傾きますが、この数値内に収まっていることは、肉が健全に熟成しているように見受けられます。

  • 食塩分: 水分の減少に伴い、未処理の0.65パーセントから0.90パーセント(中心部)へと相対的に上昇しています。

クールイノベーション技術による100日超の長期熟成は、日本の畜産と物流を「保存」から「価値創造」へ

今回の実証結果を受けて、クールイノベーションは以下の可能性に結びつけました。

経済面では、高コストな空輸に頼らず、低コストな船便チルド輸送で世界中へ輸出が可能になります。輸送期間そのものを熟成による旨味向上に充て、最高品質の「生」の和牛を世界に届けることで、日本の輸出競争力は飛躍的に高まります 。

環境・持続性の面では、食品ロスの劇的な削減が期待できます。100日以上の可食期間により、需要に応じた柔軟な供給が可能になります 。さらに通常廃棄されるドライ熟成の表面部位も、確かな衛生管理により安全な加工用原料として再利用できるため、資源を余さず使い切る持続可能なモデルを構築できます 。

また、梶屋牛が実践する地域資源を活用した循環型畜産と、エネルギー負荷の低い非冷凍物流を組み合わせることで、日本は環境負荷を抑えた高付加価値な食肉輸出の世界的リーダーに君臨し続けるのみならず、一層の拡大が期待出来ます 。

クールイノベーションの技術は、単なる鮮度維持ではなく、「移動中に価値を付加する」戦略的物流へと転換」が可能であり、日本の経済と環境に最大の利益をもたらすよう、引き続き尽力してまいります。

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Cool Innovationは、果物や野菜の鮮度を保つための画期的なソリューションを利用、宣伝、研究頂ける協業パートナー、学術機関、政府機関、農業関係者、食品メーカーなどを探しております。

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